だるま親方 レポート

VOL.1 ランカーの方向性  6月14日掲載

スピナーベイト

 世間でいわれているスピナーベイトとはこんなイメージじゃなかろうか?
『広範囲をチェックできる。 どこでも使える。 騒々しくバスを誘う。 何か物に当てて使う。』
 
私は上記の全てを否定する。

 まず広範囲をチェックできる。確かに半分は当たっているが、今の琵琶湖、特に北のクリアーなところでは、スピナーベイトの棒引きに反応するような魚は殆どいない。結果的に広範囲を投げて当たりが無かった場合、完全にいなかったのか疑わしい。
 皆さんも経験があるだろうが、ス ピナーベイトとミノー、クランクベイトなどのプラグ類を比較した場合、棒引きならプラグの方が良く釣れる。
 それにクランクベイトはどんな条件の時でもガツーンと来る馬鹿がいるが、スピナーベイトは、風、曇、少し濁り等の条件がそろわないとナカナカ釣れない。広範囲のチェックなら多くの場合プラグに分がある。

 どこでも使える。どこでもは使えない。ゆっくり巻けば深いところも探れるというが最大4mぐらいである。それより深いところは、効率がムチャクチャ悪くなってしまう。だいたい0〜4mの水深が最大効果を発揮する。

 騒々しくはない。昔、ダイワ精巧のバスアイズというビデオで水中のルアーを見たが、スピナーベイトはシャラシャラ静かな音を出していた。むしろうるさいのはプラグ類でフックとリングが当たり凄まじい音を出していた。
 マス釣の裏技に無音にするために、フックとリングをシアノアクリレート接着剤(短時間湿気硬化型、俗にいうアロンアルファ)で固める、或いはリングの替わりに紐で縛る。という技がある。
 皆、勘違いしているがプラグとスピナーベイトの場合プラグの方がうるさいのだ。

 何か物に当てて使う。これは、スピナーベイトに限らずどんなルアーでも効果がある。 しかし、皆さん狙って障害物に当てられるだろうか?私は無理である。水中の見えないブロックなどは、よほど正確なヤマタテをしないと解らない。
 じゃあ「見える杭なんかに当てればいいじゃないか」というだろう。杭の向こう2m先にキャストするのは誰でも出来る。しかし例えば右方向に少し横風が吹いていればラインは少し右に流れる。すると正確にキャストしても右に迂回しながら杭を避けて来てしまう。ましてや右投げなら右に、左投げなら左にラインは来てしまう。正確にキャストしてもラインが真っすぐでないと、ルアーは少し迂回してしまうのだ。
 都合良く杭に当てるのは至難の技である。しかも琵琶湖で見える所はライトリグで叩きまくられている。朝一番以外はお勧めしない。

 文句ばかり書いたが、じゃあ全くダメルアーかというとそうではない。使い方によっては強力な武器になる。
 まず、ロッドを立ててリーリングする人が多いがスローロールの時以外はお勧めしない。なぜならスピナーベイトは立ち泳ぎするルアーである。ロッドを立てると一層欠点が目立ってしまう。むしろロッドは水面と水平に寝かしたほうがいい。今流行のBーカスタムはわざとバランスを崩し頭が下を向く感じで泳ぐのでスピナーベイトの欠点をある程度解消している。
 ルアーは物に当てるとバランスを崩し、ものすごく効果的である。しかし都合良く障害物があるわけがない。ではどうするか?スピナーベイトは重りがありブレードが回っているのでツイッチしたぐらいではバランスは崩さない。もっと派手な操作をすればいい。
 具体的にはある程度抵抗の大きいビッグブレードのルアーを使い。竿をしゃくり、同時にリールも巻く。このとき二つの(竿とリール)の急激な動作のために竿がおもいきり曲がる、と同時にすぐに緩めるのだ。こうするとラインに衝撃が走りスピナーベイ トはバランスを崩す。これは障害物に当てたのと同じくらい効果がある。
 障害物に当てるのは障害物がないと出来ないがこれは何処でも好きなところで出来る。この動作は他のルアーでは絶対に真似が出来ない。このテクニックはVーFLATのようなバランスがいいルアーよりもちょっと古い、ビッグバスやローランドマーチンのような一見アンバランスなルアーのほうがやりやすい。いま流行のVー3ミッジやSRミニ等は非常に良く釣れ、優れたルアーであるが、スピナーベイトははまればデカイ方がいい。ダウンサイズするのは、驚異が魚に対して少なくなるが、スレスレ漁港で小さくするのと同じで悪循環になりスピナーベイトの良さをある程度殺していることも覚えておこう。
 その他の使い方としてはスローロールがある。これは、ひたすら根気としかいいよがない。ようはゆっくり巻くだけである。水深を合わせろというが、ボートの場合一定水深を引こうと思えば初めは早く、真ん中は普通、最後は超ゆっくりとなる。スローロールが有効なのはキャストして半分位、しかもカウントダウンさせるので、全キャストの3分の1ぐらいが有効レンジと思って間違いない。むちゃくちゃ効率が悪いので自信のある場所でしか出来ない。しかしこれで釣れる魚は妙にデカイ。
 ブレードはコロラドシングルがお勧めだ。なぜなら一番振動が大きいからだ。手元に感覚がこないと集中力が切れそうになるので、バスより人間の感覚を優先させる。
 またこんな事を書いていいのか解らないが、ネストにスピナーベイトをほったら、ただの馬鹿だが、5月ぐらいに、葦や木の下で控えている大きい奴に異常に効果がある。殆ど着水ヒットで釣れる。というよりキャストして1m巻いてヒットしなかったら、すぐピックアップして50cmぐらい横に投げる。この時期は産卵を控え浅場で気が立っているのか、すぐ頭上から視覚的にど派手な物が降ってくるとムカツイテ殺すようである。葦と平行に投げないこと、観察されて見破られてしまう。縦に50cmおきに投げていき、釣れなかったら、見破られる前に速攻でピックアップし次のキャストをする。本当はもっとえげつない方法もあるがネストフィッシングを詳しく書く気はない。
 それとスピナーベイトは両刃の刃である。一人で釣っている時はかまわないが、二人で張り合っている時などは、自分の首を締めることがある。棒引きしたら、プラグの方が良く釣れると書いたが、集魚力はおそらく負けていない。いやむしろ勝っているだろう口は使ってくれないが、あなたがスピナーベイトで隣がミノーやジグヘッドリグな ら最悪も起こりうる。
 例えばあなたがスピナーベイトをロングキャストする。魚は食いつかないがルアーについてくる。そこに、軽量ジグヘッドを投げられるとどうなるか、本来 ジグヘッドだけではアピールが弱く飛ばないために、釣れない魚が釣られてしまう。
 ただ逆にいえば、相手がスピナーベイトを棒引きしてくれればチャンスだ。そのすぐ後で、ミノー、ジグヘッド、テキサスリグを投げてみよう。きっと隣に感謝するはずである。

 最後にあまり言われていないがスピナーベイトはボートよりも岸釣りの立ち込みの方が効果がある。ルアーは水平に引くほど効果を発揮する。しかしボートではトローリング以外水平に引けない。しかし腰まで立ちこむ岸釣りならキャストから足元まで限りなく水平に引ける。その点岸釣り向きのルアーである。だが今の琵琶湖では岸はスレスレなのでこの効果は相殺されてしまう。
 年々出番は減っているが、奥の深いルアーなので使い続けていきたい。皆さんのご意見をお待ちします。

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