だるま親方 レポート

VOL.35 ランカーの方向性  11月8日掲載

バスとベイトフィッシュの攻防

 バスは肉食魚である為に当然子魚が餌となる。しかし、餌となるベイトフィッシュは、どうやって生き延びているのだろうか?今回はそのあたりにを書いてみたいと思う。

 まず、魚は大量に卵を生む。なぜか?答は簡単で生き残れる確率が極めて低いからだ。魚は種に保存の為に数に任せて生き残ろうとする。生魚になるまでに、ある程度捕食されてしまうのは仕方がない。しかし防衛機能が全くなければ全滅してしまう。そのために魚には数々の防衛機能を持っている。
 水に潜ると魚の群れをみる時に、キラッと反射するような光が見える(特に海の魚)。これは、魚の持つグアニン結晶(だったと思う)が反射している為である。これの作用により全体をハッキリ見せず、一種の防御作用になっている。そして子魚の表面は鏡のように回りの景色を写す。表面が銀色の魚は目立つようだが立派なカモフラージュカラーだ。
 子魚は、小さい故に障害物に隠れるものもあれば、大きな群れで移動するものもある。障害物に隠れるものは回りの環境にカラーを合わす。(カラーを鱗に写す)。そして、群れで移動するものは、群れ自体が移動するストラクチャーであり、肉食魚の襲われた時に少しは犠牲になるが全滅することはない。
 群れを作る魚は互いが、ぶつからないように側線が発達している魚が多く、群れ自体が物凄い数なので、数の理論でかなりの広範囲を警戒できる。これは肉食魚より早く相手を見つけられるので回避行動が早くとれるのだ。

 以前、軍事用のカモフラージューカラーや人間の目を誤魔化すカラーリングのビデオを見たことがある。船にすごく変で派手な模様がペイントしてあって近くで見ると目立つのだが、海に出ると光の反射や波の揺れで少しはなれて見ると全くわからない。それどころか、人間が近くで見た時に一番自然に見えたカラーが海に出ると、かえって不自然に目立つ。
 カラーというのは同じカラーでも時と場合によっては、目立ちもするしカモフラージュにもなる。
 余談だが真っ黒というカラーは自然なようで一番目立つ。カモフラージュの黒は自然では少し灰色とか、艶消しのボヤっとした色が多く真っ黒というのはない。夜は夜でシルエットが、はっきりと写る為に全カラーの中で一番目立つ。黒は効果的なカラーだが、それは自然な色ではなく、目立つからだ。
 反対に、くすんだグレーなんかは夜に使うと闇に溶けすぎて魚に見つけてもらいにくい。しかし、自然な色であるので、サイズを大きくして、見つかりにくさをカバーすると、タフコンディションに効果がある。カラーはベイトフィッシュにとっては死活問題になる。

 話をベイトフィッシュにもどそう。以前、レコード狙いで、活き餌を使ってみた。ゴムボートから、生きたアマゴを針につけ、『ここぞ!』というポイントで粘る。しかし、かすりもしなかった。
 最後にアマゴをバケツから放流すると、バスが次々に寄ってきてアマゴを食っていく。これはなぜか?
 防波堤でスレ魚(餌とり)はオキアミを巻けば寄ってきてオキアミを食うが、針についたオキアミは決して食わない、動きが(沈下が)不自然だからだろう。私が使ったアマゴは正真正銘の本物である。しかし、デカイウキに4号ラインであった為に動きが最高に不自然だった。最後にあきらめて放流した魚は自然に泳いだ為にバスは疑わずに食いついたのだ。
 例えカラーが、どんなにリアルでも(本物でも)不自然な動きをする物体は魚は警戒するということか?このことからルアーフィッシングにおいて動きがいかに大切か解るだろう。
 これは、あくまで個人的な意見だが、どんなリアルカラーのルアーも魚には不自然な物体にしか見えないと思う。カラーは自然な色であれば、それでいい。問題はルアー全体の動きをいかに自然に生き物らしく見せるかだろう。
 細かい模様にこだわるよりも、泳ぐ姿の全体像を捉えたほうがいいと思う。

 さて、とっぴな意見を今回も書いてしまったがいかがだろう?

だるま親方


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