だるま親方 レポート

VOL.36 ランカーの方向性  11月22日掲載

バスの食生活と音の関係

 バスは肉食魚であるために生き物が餌である。当たり前だ。しかし、その当たり前のことでも注意深く見ていくと様々な発見がある。今回は、そのあたりに絞って書いてみたいと思う。

 昔、ヘラ釣をしている時のことだ。バスが池にはいると、それまで大量にあった、ジャミあたり(子魚が団子をツツク細かいアタリ)が消えた。バスが子魚を殆ど食ってしまった為だ。そのうち、ヘラの仕掛けでもバスが釣れた。これは、練り餌に食いついたとは思わない。練り餌はサスペンドした状態で微妙に揺れているので、バスは練り餌に食いついたのではなく、生き物だと思い食いついたと思われる。
 小さい池に肉食魚が入ると生体系のバランスが崩れてしまう。しかし、子魚が減ってもバスは痩せながらでも生き残る。なぜか?
 試しに何匹かの腹を裂いてみた。胃袋からは、昆虫(夏場は蝉が多い)、蛙、やもり等が出てきた。魚だけが生物ではない。人間の目につかなくとも、餌は様々あるのだ。ただ、このような条件では雑食性のブルーギルが一番強い。城の堀とかため池などの人工的な悪条件では最強だろう。

 では琵琶湖ではどうか?
 琵琶湖は広すぎてバスも湖全体を食べつくせはしない。餌は豊富にある。バスは、動くものなら何でも興味をしめすが、昆虫類よりは、鮎や海老の方が興味をしめす。(いき餌でバスを釣ったことのある人なら、ミミズやサシ虫より海老が最強というのが解るだろう)
 琵琶湖では最も重要な要素の一つはベイトフィッシュであるのは間違いない。

 バスがベイトフィッシュを追いかける時、いくつかの特徴を見せる。それは『二兎を追わない』ということだ。
 狙いを付けた獲物をひたすら追いかける。すぐ脇に他の魚が居ても目もくれない。バスは本能的に二兎を追うものは一兎も追えないことを知っている。ベイトフィッシュも自分が狙われた対象でないと、解っているものは、バスが側を通っても、あせって逃げることはない。これは自然界では当たり前でチータ等の大型肉食獣も同じような行動をするそうだ。
 追い詰められた、ベイトフィッシュは水面に逃げる。バスは回りの水と一緒に獲物を吸い込むので、水面では空気が交じり失敗しやすくなる。何もない所で襲われたベイトフィッシュの最後の逃避行動は水面に逃げることなのだ。

 その他にもバスは子魚を起用に騙すこともある。攻撃の意志が無いようににボーっとした振りをして、すかさずに食いついたりもする。
 ベイトフィッシュは体が小さく、すばしっこいので、バスもマトモにやると、とんでもなく疲れるので、セコイ手も使うようだ。だから、バスは弱った生き物には異状に興味をしめす。なぜなら苦労せずに餌にありつけるからだ。バスの世界に努力と根性はない、バスは楽をして生きようとする。(だから一番楽に食える海老が大好物なんだろう)だから、ルアーのアクションもバスの都合に合わせてやるといい。
 バスは子魚を襲う時、獲物よりやや下に位置する。そして獲物の距離を詰めようとする。バスの目は上についており、口の形状は受け口なので、やや下から襲うのが理想的と思われる。これは、ランカーを狙う場合、ヒットするゾーンが底ではなく浮いていることが多く、魚がいる層のホンの少し上を引くと、あっさりストライクすることが多い。ヒットする層でランカーの好むスピードに合わすと、さらに効果がある。ランカーに効果があるルアーを引く速度というのは、はっきりと言えないがあると思う。
 バスはデカイ魚ほどアタリが解らないことが多い。なぜなら、大きいバスは獲物を水と一緒にフッと吸い込める。小さいバスは、一撃で相手にトドメをさせないために、くわえて首を振り、そして獲物を横取りされないために移動をするからだ。

 話を食べ物に戻そう。自然界で音を出す生物は殆どいない。音を出す生物は、相手を威嚇する、あるいはガラガラ蛇のように音を出して相手に自分が危険な生き物であると悟らせるのだ。
 バスが補食する生物は弱いものが多いために音を出すものはいない。音を出すと警戒されてしまう。経験の浅い若い魚や超ハイコンディション(年に一回もないが・・・・)の時には効果的なこともあるが、殆どの場合は逆効果だ。
 なぜ、琵琶湖のような年中ルアーが飛んでくるところでランカーに成長できたのか?それは、ルアーに反応しにくい個体、オカシナ物に対しては仲間が釣り上げられる所を散々見て学習した為だろう。ランカーを釣るルアーは無音であり、そして自然な外見を持っていなくてはいけない。
 ラバージグが効果があるのは、上に書いた条件を満たしており、使う奴が殆どいないからだ。
 スピナーベイトがなぜ効果があるか?水を切るが音は出さない。

 ボートを持っていないので偉そうなことは言えないが、例えばエレキの音は水切り音ではないと思う。モーターの作動音がシャフトを伝わるためにモーターの音が水中に拡散してしまうんだろう。海の魚が沢山の群れで移動する時水を切っているが音はしない。エレキの羽も水で推進力を得ているので羽自体は大した音は出してないだろう。
 ランカーは水を無音で切って移動する物は生き物と考えるようだ。ただし、ラインの水切り音は嫌われると思う。バスは食べ慣れた物でない場合、まず外見が自然か?そして不自然な音がしないかをチェックすると思う。ルアーは所詮偽物、見慣れない物だ。ましてや生き物ではない。では、せめてネガな部分を消していってはどうだろうか?

だるま親方


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