だるま親方 レポート

VOL.40 ランカーの方向性  1月24日掲載

害魚論と経済効果

 今から20年程前、関西の総合釣雑誌にブラックバスについて興味深いレポートが載ったことがあった。あらましはこうだ。


 その湖にはワカサギ、モロコ等のおとなしい小さい魚しかいなかった。その湖はニジマス等のフィッシュイータも放流していたがニジマスは日本では自然繁殖出来ないために湖に根ずいていなかった。
 ある時、この湖にオイカワが出現した。オイカワは雑食性で子魚、卵までなんでも食べる。ワカサギ等の魚は産卵場まで荒らされ壊滅近い打撃を被り、オイカワも餌不足で痩せた個体ばかりになった。
 ある時ここにブラックバスが入ってきた。バスは大きい為に小さい魚の浅い産卵場まで入っていけず、主にオイカワを捕食した。ワカサギ等も捕食しただろうが、オイカワの様に産卵場の卵まで荒らすことはない。
 こうしてバランスが保たれて、各魚は適正な個体数を保ちワカサギ、モロコは増加傾向が見られた。


 なぜ、こんなことを書いたかと言うとバサーにとって都合のいい話を持ち出すためではない。この記事はデーターを持ち出して比較的、客観的に書いてあり、あくまで限られた環境ではこういうことも起こり得るということだった。
 だが知り合いのヘラ師がこれを読んだ時、烈火のごとく怒りだし、出版社へ抗議の電話をかけたのが記憶に残っているからだ。

 ブラックバスとバサーは淡水で、それ以外の釣りをする人から嫌われている。みんな薄々感じてはいるだろう。いくらデータを持ち出したところで感情的になった人はには逆効果だ。子供心にそう思った。

 確かにバスという魚の繁殖力は強い、琵琶湖は昔は鮒がやたらいたが、今琵琶湖でヘラ釣りをしても釣れるのはバスばかりだろう、一時琵琶湖はバスとブルーギルばかりになった感じはある。
 現在はどうか?悪条件ではブルーギルは健在だが、バスはその他の種と同じように減った(安定期)様な気がする。環境破壊で魚が減り、ついでにバスも減ったのか?それとも湖を食べつくしたのかは分からない。だが環境破壊で魚の産卵場が減ったというのはあるだろう。護岸工事で自然な浜はどんどんなくなっている。
 自然との触れ合い、アウトドア雑誌によく書いてある言葉だ。だが本当に自然が皆好きなのか?現代人は本物の自然の中では生活出来ない。蚊は飛んでくる、ムカデは這う、すさまじい雑草に蜘蛛の巣、本物の自然とはこういうもんだろう。
 護岸工事のように加工された自然のほうが一般人には受ける。加工された自然が増えると本物の自然が減るのは当然だ。現在の琵琶湖はまさにの状況だろう。

 私はバスとバスフィッシングを正当化するつもりはない。ただ今現在琵琶湖からブラックバスを追い出すことは不可能だ。ならば有効利用したほうがいいのではないだろうか?
 ダムが出来ると必ずマス類が放流される。ニジマスは最初からいない魚だ。しかしそこに最初からいないバスが入ると地元は怒りだす。ニジマスは放流し続けないといけないがバスはそんなことはない。
 ニジマスのように食べるということは、あまり無いだろうが、それなら魚屋へ行った方が安いはずだ。今ではバスの方が商売になるかもしれない。
 『害魚』 結局これは人間にとって金になるか、ならないか。それだけの差でしかない。バサーの経済効果はガソリン代、飲食代、地元に落とす金は物凄いものがある。ただ表面には現れに悔い。どんなにデーターをそろえても金を出さずに口だけ出せば最初のヘラ師のように感情論になるだけだ。
 私はいろんな釣りをやった。ある意味釣りをするという行為自体も自然にはやさしくはない。ヘラの餌は水を汚すし、チヌ釣りで赤土を使うために海の底が赤土だらけになったという。私も将来的にボートを買うつもりでいるが、エンジンは水の中にオイルを流すので、水質は悪くなるだろう。(生物分解オイルが好ましい)だが、正当化するわけではないが、釣りと経済効果とは密接な関係がある。
 自然環境は大切だが、あまりに自然に気を使いすぎると現代人の生活は成り立たない部分がある。
 アメリカで昔、大量失業で工場が止まった時に空は綺麗になったが仕事は無くなったという笑えない話もある。自然環境と快適な生活はどこかでバランスを取らないとだめだろう。
 これからは自然も有料になる時代が来ると思う。我々バサーもそれなりの経済効果に貢献している。だから感情に訴えるのではなく、経済効果を前面に押し出した方が効果があると思われるが皆さんはどう思う?
 もし琵琶湖がライセンス制にでもなったら金を払って釣りを堂々としようと思う。

だるま親方


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