だるま親方 レポート

VOL.41 ランカーの方向性  2月7日掲載

フィッシングプレッシャー

 『タフコンディション』 決して珍しいコンディションではない。むしろ一日の内、殆どが魚を釣り悔い時間帯かもしれない。魚が釣りにくくなるのはなぜだろう?
 水温、酸素、あるいは鮎等のベイトフィッシュを追ってルアーに反応しにくくなる。しかし長い目で見ると最大の要素は人間(釣り人)ではないだろうか?
 今回は人為的な悪影響でスレてしまった現在の釣場について述べたいと思う。

 誰でも一度は考えたことがあるだろう。琵琶湖にバスが入って30年、現在は安定期に入ってしまったが、もしその間、誰も釣りをせず、しかも現在の知識と装備をもっていけたら。。。おそらく全盛期には一日軽く、百匹、釣るだけなら冬でも夏でもそれなりに釣れるに違いない。しかも、とんでもない浅場に魚が群れるだろう。
 ブラックバスは本来シャローが好きなので外敵さえいなければ本来の住みかにいるだろう。しかし現在は釣り人がドッと押し掛けるので、岸からは届き難い所に昼間はついている。マンメイドストラクチャー等も同じことで、本来付くべきはずなのに、いかにも魚が居そうなところは魚が居ないか、あるいは極めてルアーに反応しにくい個体しか残っていない。このような場所は深夜しか釣りにならないこともある。
 これは琵琶湖の現在だけを言っているのではない。17、8年前の池原ダムでさえ、そんな状態だった。その当時は釣り人もずっと少なく、池原、七色、坂本の三つのダムに人が分散していたのにかかわらずだ。バサーがドッと押し掛ければ釣り場は二年持たない。池原と琵琶湖南湖で口閉じ、尾開きの本物のスーパーランカーが毎年上がっているが、来る人間の数が半端ではないので装備、テクニックの他に運も必要だ。(人だらけの中でビッグフィッシュをしとめるバサーはすばらしい、ただ残り99%のバサーは私と同じように肩を落として帰る)

 では具体的にプレシャーが上がると、どんな症状になるのか?
 まず音に別の意味で反応する。初めのころはデカイ音、不自然な音にも積極的に反応したが、だんだん反応が悪くなり、不自然な音がすると逃げていく。これはプラグを例にとると分かりやすい。
 けたたましい音がするバイブレーションプラグ等は真っ先に反応しなくなり、通常の棒引きリーリングにはヒットしにくくなる。プラグを通常の速度でひくとフックとリングが当たる音で想像以上にデカイ音を出してしまい、連続的に音が出るので魚に見破られやすい。
 スレた場所では超スローとジャークが幾分効果がある。超スローで引くと音は随分静かになる。ジャークはジャッジャッと不規則な音になり連続音ではないので魚にばれにくい。だが極端にスレたところでは、これらの方法も通用せず、サスペンドプラグを止めておくぐらいしか効果がない。

 ではライトリグはどうだろう?
 人為的に叩かれまくった釣場では、スプリットショット等に頻繁に魚の当たりが出るが一匹も釣れないということがよくおこる。これは魚がルアーの重みを感じた瞬間に、すぐに吐き出すためだ。スレた魚はプラグでは触った瞬間に掛けられてしまうことを知っているが、ワームなら一瞬かまって吐き出せば釣られないということを見切っている。
 このような症状が起こった時、瞬間的に合わせようとしても人間の反射神経では追い付かない場合が殆どだ。トリプルフックをトレーラーに使用すればいいこともあるが、ワームのバランスが狂ってバイト率が下がることの方が多い。
 私は匂いつきのワームの集魚効果はあまり信用していないが、材質の違いによって、食いついている時間の差は確かにあるように思う。
 斎藤よしお氏に教えて頂いたのだが、ショートバイトの時はバークレー等の味つきルアーを使うと魚が食いついている時間は幾分長くなるようだ。ただ、このようなスレた魚を釣るのは氏のように専用タックルを使い、テクニックを駆使しないと駄目なので、その場は諦めて、夕方とか釣りやすい時間帯に攻めてみたほうがいいんじゃないだろうか。釣れない魚はいない魚と同じである。
 ただ、あまりにプレッシャーを意識しすぎるとハマルミスがある。
 現在のスレきった釣場ではマイクロクローラー等の極小ワームを使用する。しかし仮に琵琶湖全盛期の15年程前に超スレっからしのセコタックルを使用していたらどうだろう?おそらく標準的なサイズのルアー(4〜8インチ)にあっさり負けてしまうだろう。
 スレた漁港のような所で通用するルアーは広大な場所に持っていくと小さすぎて目立たない。魚も見慣れない物体は小さい方が反撃される危険は少ないが普段食べているぐらいのサイズなら動きが納得すれば、そちらのほうが好まれるようだ。
 極端に小さいと漁港のようなバスがあまり動かない場所はともかく、ある程度自由に動ける場所ではゴミと間違えられるだろう。
 現在の風潮は批判するわけではないが、ライトリグを極めたら何時でも、どこでも通用するような感じはある。ライトリグでランカーを釣る達人の話を聞くと場所を絞りこんで魚の目の前にルアーを持っていっているようだ。なぜならライトリグでは目の前に落とさないと小さい魚がちょっかいを出すからだ。
 ライトリグの達人はライトリグの欠点も知っている。

 しかし釣りの分からないところは、スレっからしの有名ポイントでも効率は悪いが、ラバージグ、テキサスリグに反応する魚も確実にいて、それらに反応する魚はサイズが大きく通常のライトリグには全く反応しないことだ。
 どのルアーの反応するかは人為的なプレッシャーによる度合いが強いが、読み切れない部分は確実にある。ルアーに反応する個体はバス全体の一割程度でしかない。その一割を釣ってしまうと後は釣りに悔い魚ばかりということになるが、新型ルアー(センコー等)で人間が一時的に魚より優位に立てることもある。しかし魚はすぐスレる。ましてや数も減少している。これからは釣り人にとって今まで以上に厳しい時代になるだろう。

 今回の文章を書くのに斎藤氏にメールで教えて頂いたテクニックを参考にさせて頂きました。有り難うございます。

だるま親方


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