だるま親方 レポート

VOL.43 ランカーの方向性  3月7日掲載

不自然さ   協力:N.K

 ルアーメーカーは数多くある。その多くが細かいカラーバリエーションを持っている。しかし、それがどれほど意味があるのだろうか?バスは大雑把な色は区別出来る。現にカラーで物凄い差がでることもある。
 だがそれは、チャートと自然色などの極端な対比で差が出ることがあるが、一瞬見ただけでは判らないような僅かな差ならあまり差が出ることがない。(漁港のような極端な所では超スローに引いた時のみかなり差がでるときもある)
 視覚はバスにとって、獲物を探す最も重要な要素だが、人間の一般常識とは微妙に異なる、以下にその理由を述べたいと思う。

 まず本当に極一部の魚を除いて殆どの魚は近眼だ。だからかなり近づかないと細かな模様など見えない。ましてや動いていれば、さらに見にくいだろう。このように書くと、「そんなことはないブルーギルなんかは6ポンドのラインでもつついてくる。」と反論をくらいそうだが、ギルも目の前のラインは認識出来るが、少し離れたら認識困難になるだろう。
 バスもサスペンドプラグで止めている時は細かな模様も多少効果はあるだろうが、動かしている時は細かな模様より、全体像を重視するような気がする。これはプラグ本体に、本物の目よりも遥かに大きいアイスポットを書いたり、エラの辺りに雑な赤模様を書いたほうが、リアルカラーのプラグを凌ぐ効果を発揮することがあることからも、それは判る。
 では近眼だから視覚は重要ではないのか?矛盾するようだが視覚は重要だろう。動きで本物かルアーかを識別するためだ。
 犬は近眼だが動いている物体はかなり遠くからでも認識出来るし、それを補う聴力と臭いの識別能力がある。
 魚には側線がある。この部分は人間で言うと、耳と外耳にあたり主に低い音、言い替えれば自然な音を拾う。魚が異常な音として認識するのは側線を通じて内耳に入る高い音である。魚は自然界にない異質な音にはよく反応する。これは人間が自然な音(風とか雨とか滝の音)はいくら大きくてもあまり気にぜずに眠ることが出来るが、人工的な金属音等は、どんなに小さくとも聞こえる限りはイライラするのと同じだろう。
 魚はスレていない時には、すさまじい騒音にも興味をしめすが、スレだすと異質な音には警戒する。スレても強いルアーは水を自然に押して不自然な音を出さない物だけである。じゃあ音が自然なら何でもいのか?

 こんな経験がないだろうか?海釣りで巻き餌を巻いたら魚がドッと寄って来たが、糸と針が付いた餌は食わないが、回りの巻き餌は全て食われてしまった。これは、仕掛けの付いていない巻き餌と違って、仕掛けがついた餌はどこか動きが不自然になるからだ。“潮の流れに乗せて仕掛けの不自然さを隠す”これは海釣りでは常識で、自然に漂わすために、より細いラインを使う。ましてやルアーは偽物で、回りに誤魔化せるような巻き餌は巻かない。むしろ鮎ボールにリアルミノーを投げても結果は惨めだろう。動きで一発で偽物とばれてしまう。首を振って泳ぐ鮎はいない。だからスレたバスには、ラバージグ、テキサスリグ、ジグヘッドが有効というのも分かる。これらのルアーは極めて自然に動くからだ。
 不自然さを隠すと言っても棒引きの場合は太いラインでもかまわない、ましてや相手は容赦がない。しかしノーシンカーで流れに乗せる時は言うまでもないだろう。ついでに言うと殆どの魚食魚は獲物を下から襲う習性がある。下からだとラインの存在が近眼とはいえ全体が見えてしまい、どことなく不自然になるために細いラインのほうが有利かもしれない。
 現在のスレきった釣り場では不自然さを隠すというのが、必ず意識しなければならない時代になるかもしれない。

だるま親方


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