だるま親方 レポート

VOL.44 ランカーの方向性  3月21日掲載

匂い(臭い)   協力:N.K

  昔、チヌ釣りをしている時、ベテランのチヌ釣り師に「お前はいいチヌ釣り師になる」と言われたことがある。(現在は落ちこぼれて3流バサーになってしまったが、)なぜなら“タバコを吸わないから。”
 チヌはタバコの臭いが嫌いで、手についたヤニの臭いは簡単には取れず臭いで釣果に差がでるというのだ。ヘラ釣りをしていた時も同じことを言われたことがある。
 しかし、この言葉は真に受けることが出来ない。なぜならタバコを吸う、チヌ名人、ヘラ名人も数多く存在するからだ。だが、どんな釣りでも臭いに拘るベテランは少なからず居た。今回はよく言われるが釣果にハッキリ差が出にくい(解らない)匂いについて書いてみたいと思う。

 まず、臭いを頼りにしている魚は存在する。サメは1000倍に薄めた血の臭いにも反応する。死の臭いを嗅ぎ分けるというのは本当だ。サメにとって臭いは重要な要素だろう。エイも臭いには敏感だ。しかし、それはそのままバスには当てはまらない。サメやエイの軟骨魚類は臭いに対して鋭い感覚を持っているが硬骨魚類にそのまま当てはめるのは乱暴だろう。
 サケは川の匂いを辿って生まれた川に帰るというが、匂いが全てではなく、海から帰る時は鼻の中にGPSに相当する器官が入っており、それを使って故郷に帰る。ではバスは匂いに対してどうか?

 上に書いたチヌやヘラの話と似たような話はバスの世界にもあり、冗談のような商品が売られていた。L−セリン除去剤だ。どんな商品かというと、人間の汗の中には(人間は0度の時でも少しづつ汗をかいている)バスが嫌うL−セリンという物質が含まれていて、Lーセリンがルアーにつくとバスはその臭いを嫌ってルアーにヒットしない、ローランド・マーチンはLーセリンをあまり出さない体質の為にバスプロとして最強なのだ。このローションを手に塗ればあなたもマーチンと同じようにLーセリンを出さない体質になり、バスが爆釣。
 当然ローランド・マーチンが宣伝に出ていた。

 現在このローションを置いているショップはないので効果は言わなくても判るだろう。日本だけではなく、本場アメリカでも臭いの商品は数多く売られている。ジェリーワームにはマスカット、グレープなどの匂いつきオイルが売っていたし、私もサラダ油にバニラエッセンス、カルピスエッセンスを交ぜてワームオイルもどきを作って使用してみたこともある。
 アメリカの有名バスプロが日本のイカ油、ニシン油をワームに塗っているという話も聞いた。(真似してはいけない、ルアーにイカ油、ニシン油を塗ると、しばらくするとワームはコチコチに固まってしまい。プラグの塗装は落ちる)
 私はこれらのことを全て試したが目に見えて効果はない、油を塗っても2回も水につければ塗り直しなので、メーカーは喜ぶだろうが、ユーザーのサイフと環境には優しくない。使いこんだワームは艶が消えるが、艶無しの方が効果的なこともあるし、釣ったバスのヌルでも塗っておいたほうが安くつく。(魚のヌルを付けるのは、よく言いわれるが目に見えた効果はない)
 バスはカツオやマグロと違い、一ヶ所で止まることが出来る。だから確認時間が多く取れると思うだろう。
(カツオやマグロをエラをパフパフ出来ないので、絶えず泳ぎエラに水を通さな いと呼吸出来ない。泳ぎながら寝ることも出来る。寝るというのは脳が休んでいる状態で、まぶたがないので、目を開けて泳いでいても脳が休んでいれば寝ているのだ)
 だが、側線で動きを感知、視覚で確認、臭いで判断ということはしないだろう。自然界にいるバスのエサになる生物も馬鹿ではない。プレデターが確認に時間をかけるほどエサになる生物は逃走しやすくなり、生物ピラミッドの頂点という場所から滑り落ちてしまう。

 昔、プラグを塗り直し、まだシンナー臭がするルアーでバスが入れ食いになったことがある。空気中では臭いは自然に拡散するが、水中では水の流れに逆らえない。
 しかしストライクする寸前にはシンナーの臭いがしたはずだ。それでも関係なくヒットした。バスは臭いをあまりアテにしてないように思う。これが私の長い間の結論だった。

 しかし最近、エコギアやパワーワームのような臭いつきの(味つきか?)ルアーが発売され、確かに効果を上げている。臭いなのか?味なのか?ワームデザインなのかは分からないが確かに効果は絶大だ。
 私もまた分からなくなってしまった。皆さんはどうだろう?

だるま親方


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