だるま親方 レポート

VOL.46 ランカーの方向性  4月18日掲載

視覚と色彩2   協力:T.T

 よく雑誌で魚は水流を側線で感知するとか、水面に落ちた虫の足の動きまで側線で感じて暗闇でも正確に獲物を襲うとか書いてある。魚を捌いたことがあるひとなら判ると思うが、魚がマナ板で暴れた時に、側線を押さえると人間でいう目隠しをされたように一瞬は静かになる。(その間に絶命されるわけだが)
 このことからも魚が、ある程度側線を頼りにしていることが判る。
 しかし暗闇で、離れた虫の足の動きまで側線で感じられるんだろうか?そこまで側線が高性能なら目は殆ど飾りのはずだ。しかし私は未だに片目の50アップを釣ったことがない。(でかい魚程傷が無い)自然界で視力の障害者は生存競争を勝ち残れない。

 実際に群れを作る魚は密に泳ぐために側線が発達しているが、側線の感知出来る範囲は体長の1〜1・5倍程度でしかない。(20cmぐらいの魚で)側線は振動を感じるが、虫の足の動きが数メータ先まで伝わるわけがない。
 魚は虫の足の振動ではなく、水面に出来た波紋に反応するのだ。(トップマニアじゃないが)

 鯉に餌を投げると、鯉は空中を落下中の餌の着水点を割り出し、仲間より早くそこへ行こうとする。バスも同じで空中を飛んでいるルアーの着水点を予測する。だから着水ヒットは日中に多く、夜は入れ食いでも着水ヒットは殆ど無い。
 魚は近眼だが、最大限に頼る物は音と視覚なのだ。では色彩はどうか?

 自然界の生物は、殆どが回りと調和した自然な色をしている。派手な模様をしているのは大抵危険動物で(蜂とか)自らを色で危険とアピールすることで不要な戦闘をさけている。色というのは、光の波長の長さの違いだが一部を除いて大体の魚には色彩がある。

 色盲な生物は、(色盲でも色の深さは解るが)極端に遠距離で獲物を探さなければいけない鳥とか、暗闇で生活する深海魚などだ。
 これらの生物は目の機能を色彩と引き替えに他の部分を発達させた。肉食鳥は、はるか上空からでも小さな獲物を発見出来るし、深海魚は人間には真っ暗にしか見えないところでも、ある程度視力がある。(さらに深いと目が無い生物もいるが)
 色彩がある生物は色彩が必要だから、それを利用し頼っている。

 バスの場合、経験上クリアーな所ほどカラーにはシビアになる。しかし地味な色なら大体ハズシはないが、黄色などのチャートは使い方を間違えるとクリヤーなどでは痛い目にあうことが多い。
 夜は黒か、それ以外のカラーというところだが、濃いグレーは闇に融けすぎて発見されに悔いような気がする。濁っているところでは、人間は霧がかかったように水中を見渡せないが、ナトリウムランプが霧を透過するように、(ナトリウムランプは発色が悪いので普通の場所には使用されない)魚の目は少々の濁りなら、クリヤー程ではないが、ある程度視界が(人間よりは)確保されているようだ。

 バスは獲物の動きと、色彩で判断し食えるかどうか反応するが、疑わしい場合は条件が許せば、じっくりと観察する。
 例えばポーズしているサスペンドミノーの後ろ20cmにバスが付き、しゃくる度にミノーに付いていき、この20cmという間は縮まることがない。そんな経験は誰でもしたことがあるだろう。
 近眼のバスはハッキリ見える範囲でじっくり外見を観察し、鼻に水流が当たる距離で動きが本物かチェックしているんだと思われる。(鼻に当たる水流で本物の魚と比較する)
 このように長時間ポーズを取る時は観察する時間を多く与えてしまう為にリアルカラーのほうが有利だろう。しかし、経験的に言うと、見える範囲でこんな釣り人のお遊びに、つき合ってくれる魚は経験のない極端なチビが多く、でかい魚は最初の一発勝負か、全く無視をするかどちらかだ。

 最近はルアーが雨あられ飛んでくるので小さい魚も反応しにくいが。大きい魚が反応する動きは小さい魚が反応する動きと明らかに異なる。カラーの好みも異なる傾向がある。

 具体的に言うと、突飛な動きや不自然なカラーは経験がないチビがよく反応する。ランカーほど自然な動きと自然なカラーに反応する傾向があるような気がする。思うに大きく育つまでに危険な動きと色彩は学習するんだろう。
 場所と、視覚(動き)、色彩(カラー)この条件を満たしてやれば案外釣りは簡単かもしれない。

だるま親方


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