だるま親方 レポート

VOL.51 ランカーの方向性  6月28日掲載

タックル ロッド編

 昔、フライフィッシングをしていた時、30万円もするバンブーロッドを使っている人間が多くいた。レナード、トーマス&トーマス等のブランド品は物凄く高価でもっているのが一種のステータスだった。
 オービスのカーボンロッドが8万円で買えるのに、たかが竹竿が30万とは、内心は馬鹿にしていた。

 バンブーロッドは思っているよりはパワフルな素材だが、重いグラスロッドという感じで、これなら8千円のグラスロッドを買えばいい、こんな商品が売れるからフライフィッシングは効率の悪い釣りの代表なんだと思っていた。

 だが、ある時、フライの達人にバンブーのレナードを振らしてもらうと、独特のテーパーで振りやすく、未熟な腕ながら、竹には竹の味わいがあると教えられた。(性能的にはカーボンに遥かに及ばないが・・・)
 素材の性能=竿の性能ではない。こんな簡単なことに気づくのに10年もかかった。
 今回は、御粗末な腕ながら、タックル論を述べたいと思う。

 まず、リールは高価の物の方が性能はいい。ここ数年のリールの進歩は凄まじく、一昔前のリールとは歴然とした差がある。鋼製が上がり、軽いルアーでも苦もなくキャスト出来るようになった。リールの性能は値段に比例する。

 では竿はどうか?これは簡単にはいかない。GLXという竿がある。初めて使った時は、あまりの軽さ、感度、反発力、パワー、そして日本製の竿なら折れるんじゃないかという極端な先調子に度肝を抜かれたが、使用している間に欠点が見えてくる。
 反発力が強い、感度がいいと言うことは、釣り人の利点になる場合が多いが、場合によっては欠点にもなりうる。

 例えばライトリグで、魚がスレ気味で、異物感を感じたら即、吐き出してしまうような時だ。
 こんな時は、反発力が強い竿程不利になる。感度がいいと言うことはラインを通じて相手にも伝わってしまう。ライトリグは感度ではなく、ラインの動きで合わせることが多いので、感度がよくてもあまり有り難くはない。
 このような状況では8万円のGLXよりも、4千円の安竿のほうが優れた竿になってしまう。

 他にもある、クランキングにグラスロッドを使うのは、バレ難い、食い込みがいい等のメリットもあるが、最大のメリトは動きがよくなるからだろう。
 今でこそ高級グラスロッドの価値が見直されているが、一昔前ならただの安竿だ。

 ここまで書くと反発力のある竿はダメという感じだがそうじゃない。掛ける釣り、ルアーを弾く釣りには最適だし、何より魚と格闘するとき反発力のない竿では魚が寄らない。ただ共通しているのは、バットの弱い竿は全く使い物にならないことだ。反発力の強い高級ロッドはバットが強くても、曲がりきると止まるような特性があり、ラインには優しくない、グラスロッド等は、底無しという感じだが、反発力が弱すぎて魚が寄らず遊ばれる。
 どちらがよくて優れているとは言えない。ようは好みと、どこに重点を置くかだろう。

 竿は広い汎用性を求めるか、用途によって使い分けるかだろう。ゴルフでも、ドライバーとパターを同じ土俵で比べる奴はいない。

 人間の感覚というのは、おもしろいもので、竿も一番最初に使用した時の第一印象が、その竿の本質が一番分かったりする。しばらく使用する間に欠点にも慣れてしまい、本質が見えなくなるために、一番最初に使用した時の感覚というのは出来るだけ覚えておくようにしている。

 竿は先調子の竿ほど操作性は優れるが、反対にタメが効かず投げに悔い。キャストがやりにくい竿は、どんなに軽くても、疲労間は凄く溜まる。ついでに言うと、タックルセッティングはカタログ上の軽さよりもバランスの方が重要だ。

 フライタックルの場合、リールをセットしてグリップからブランク5cm以内でバランスが取れないとバランスが悪いタックルという目安がある。
 しかしバスタックルの場合、ここ最近のリールは極端な軽量化でロッドとリールのバランスが悪い組み合わせが目立つ。正直ベイトリールは重心が手元にあったほうが、操作しやすいので200gを切る軽いリールは、余程軽い竿以外はバランスしない。
 管理人の田中氏がロードランナーとアンタレスのセットを使用していた。よくもまあ、こんな重い竿とリールでと思ったが、持ってみると意外なほど軽く感じる。重心が手元にあれば、疲れない。この時にカタログ上で何gというのは全く意味がないことと確信した。

 ヘタの横好きで20年間釣りをしているが、リールは10年前と今のモデルでは明らかな差があるが、竿は別にそれほど変わったという印象はない。10年前の竿でも釣りをするうえでは、さほどハンディにならない。(少々重いが)

 竿にこだわる釣りといえば、へら、チヌ、フライなどがあげられるが、未だにベテラン連中が竹を使ったりしている。そんなベテランと話すと、素材よりも微妙な曲がりかた(テーパーデザイン)にこだわっている場合が多い。
 現在の技術なら、カーボンで竹のアクションもある程度真似は出来るだろう。だが完全には真似は出来まい。

 結局、趣味の世界だから個人の好みだ。私もレナードを振って少しは竹の良さが分かったような気がする。しかし最後に。飛距離だけなら、竹竿よりカーボンロッドのほうが遥かに飛んだことを付け加えておく。

だるま親方


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