だるま親方 レポート

VOL.56 ランカーの方向性  9月26日掲載

障害物

協力T・T

 湖には多数のゴミが捨てられる。情けないことだが皆が知っている事実である。地元の住民は怒りが治まらないだろう。清掃活動を通じてもそれは解る。しかも水中に大型のゴミ、自転車やブロック等が捨てられていることもある。それらのゴミは引き上げられず、そのまま残る。

 いい、悪いは別にして水中に投棄された大型ゴミに唯一文句を言わない人種がいる。なんのことはない、我々バサーである。
 ベテランバサーは何も無いところにポツンと独立したストラクチャーに付いている魚が釣りやすいのを知っている。今回は障害物について話したいと思う。

 10年位前のアメリカの雑誌に、バスの障害物に対する反応が載っていた。シャーレの小バスを入れて、光を全体的に均一に当てると魚はバラバラに泳いでいるが、石を置くと魚はそこに集まり、一部を黒く塗ると障害物が無いのに魚はそこに集まった。バスに対する光を避けて障害物に対する反応が載っていた。
 バスは光を嫌い、障害物に付くという実験だがこれだけで結果を出すのは早いだろう。

 上記の実験を行えば殆どの魚が同じ結果になるだろう。魚食魚の生態はそんな簡単には片付けられない。魚は変温動物だが、魚食魚の場合、常に相手より体温を高めに保ちすぐに動けるようにしておく必要がある。サメは筋肉を動かして体温を保つ機能があるし、バスも体温を保つ為に日にあたる。陰や障害物に付いている奴のほうが平均釣りやすいが、あまり拘りすぎると、少し工夫すれば釣れる魚を逃してしまう。
 現に障害物に付いている魚はおのずと釣れる数に限界があるが、リアルなライトリグで日向で魚を騙しきったなら、だらだら釣れ続くこともある。リアルなライトリグはある程度光の有るところで最大の効果を発揮する。
 (夜は駄目なことが多い)
 繊細さゆえに暗い所では目の前に落とさないと目立たないんだろう。

 バスは細かい歯が付いているのと成長すると体重が増す体型的に基本的には待ち伏せ型と思うが、クリヤーの所のバスはスマートで回遊魚のような体型をしている個体もいる。
 話しはそれるが、マグロのような回遊魚はスマートであまりに高速で餌に突進するために、飲み込むのに邪魔な歯がない。歯がついているから単純に待ち伏せ型とは言わないが、その傾向があるのは間違いないようだ。

 待ち伏せと言っても色々あり、だるまガレイは先端の鰭が海老のような形状になっており、小魚を騙して口へ誘導する。バスはカレイのように砂に潜れないので、障害物を利用する。
 魚食魚の場合、待ち伏せにも2種類あり、ストラクチャーにタイトに付いている場合、目の前にルアーを落とさないと食いつかず、もし離れた場所に落とすと見破られて、2回目からは厳しくなる。
 もう一つはストラクチャーに付いているが、その周辺をグルグル回っていることもあるらしい。ストラクチャー付近に近づく餌に何時でも攻撃出来るようにスピードを乗せ、且つ体を暖めているのだ。同じ場所から釣れた魚でも、前者の場合動いていないのでアタリが細かく、後者の場合当然アタリが大きく出る。アタリの出方でその日のバスの状態がある程度推測出来る。

 漁師に聞いた話だが、危険なサメはやたら動き回るらしい、そして後ろからついてこられたら最悪だそうだ。この行動はバスも共通する部分がある。(サメは鼻が弱点だが)

 話を障害物に戻そう。どんな釣りでも障害物の物体の角や先端に魚が集中する傾向がある。海なら塩通しも関係するが、魚は餌や酸素そして陰などが関係無しに障害物に集まる。漂流する大木に何千匹という魚がついた例もあるそうだ。
 ただバスは表面積が広いものに集まる習性があり、綺麗なブロックよりも崩れたブロックを好む。
 また藻は酸素を供給するだけでなく、複雑な模様で広い表面積を持つので、琵琶湖のビッグフィッシュは藻を好む。(嫌いな藻もあるが) ただバスは藻の側にいるのは好きなようだが、藻に身を擦られるのを極端に嫌う。ルアーも藻の上に乗れば爆釣だが、藻に絡むと絶対に釣れない。
 だから逆手にとって、重いガード付きラバージグを藻の中に放りこんでおき、藻の中から一揆に抜くとスレたビッグワンでも騙せることがある。スレてくるほど人間には分かり難いストラクチャーに付くようだ。スレた釣り場で、目に見える人造建造物から50cm程度ならともかく、レコードサイズはまず上がらない。

 今回言う障害物とは目に見える物に限らない。わき水もそうだ。わき水は年中水温が同じで魚にとっては有り難いが、わき水は溶けている酸素の量が少ない。酸素が少ない、極端に綺麗な水はある種の魚には障害物になる。

 シーラカンスはなぜ長期間生存出来たのか?、それはシーラカンスが住んでいた場所はわき水があり、塩分濃度が薄く、鮫などの外敵が近づけなかったのもあるらしい。

 あらゆる要素がからむ。たまには、ギンギンに釣りをせず冷静に回りを観察してはいかがかな。そういう私は全然出来ないが。

だるま親方


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