だるま親方 レポート

VOL.58 ランカーの方向性  10月24日掲載

理論と実戦 1

協力T・T

 どんなジャンルの物にも解説書という物がある。初心者の頃は解説書通りに学習していくことが上達の早道だろう。だが誰にでも経験があると思うが上達するにしたがい、解説書というのは、完全な間違いではないが現実とは微妙なズレがあることを実感する。自動車教習所でそのまま習ったことを実戦していたら、現実の運転では危険でさえある。
 今回は理論(理想)と実戦(現実)について書いてみたいと思う。

 昔、フライフィッシングをやっていたときリールは必ず右で巻けと教えられた。なんの根拠があるのが判らないがそれが伝統らしい。だが私は巻きやすい左で巻いていた。
 それとフライロッドには、ラインに番手の指定があり、番手を超えてはいけないというルールがある。しかし、ロッドはフルキャスト時、すなわちライン全てが出ている時を考えて設計してあるが実際の釣りではライン全てを出してフルキャストすることは、まずない。
 実戦ではラインの半分程度を使ったショートキャストが多い。そのために指定番手より重いラインを使用したほうが使いがってが良い。

 だが上記の行為はマニアなフライアングラーからは奇異な行動に見えるようだ。趣味の領域なので自分の使い易いように道具をセッティングするのは自由なはずなのに、本や伝統に縛られている人は意外と多い。

 バスも同じでトーナメントレギュレーションの8ftを超えるロッドはない。しかしアマチュアは好きな道具を使用していいはずだ。海で使うパワーロッドやトラウトロッドを使用するのは反則だと考える人が多い。

 偏見かもしれないが、こんな考えを持つ人は実際の釣りでも考える以前に結論をだして自分の釣りを狭くしているような気がする。だが何時も正しい結論を出せる人はこの世にいない、特にバスにおいては。
 バスは日本においては、まともに研究している学者は少ない、なぜなら金にならないからだ。釣具のメーカーの場合研究をまともにしている真摯なメーカーもあるが、宣伝を見ていると明らかに効果が疑わしい商品もある。メーカーの場合、魚よりも人間が釣れた方が金になるからだ。
 消費者としては騙されないようにするしかないが、メーカーの広報担当のようなアングラーは多い。
 嫌味ではないが広報担当アングラーと全く正反対の人種が職業漁師で、彼らは不要な所には徹底して金をかけない。漁師は自分の経験と水産大学の学者がちゃんと研究した成果を信じる。
 だが最後に漁師が便りにするのは自分の経験だろう。なぜなら学者の判断が全て正しいとは限らないからだ。
 海に魚は甘味を感じないと言われているし実験結果では確かにそうだ。マグロは色盲と言われてこれも間違いではない。しかし巻き餌に砂糖を交ぜて好釣果を上げている漁師もいるし、ある地方の漁師は青がマグロに効果的な色と信じている。実際の魚は理論どおりにはいかない。
 バスも日本に入ってきた当時は、ダム等の深場、流れのある川、海の河口付近では生息出来ないと言われていたが現実はみてのとおりだし、20年前、冬の1匹は夏の100匹に相当すると言われたが、場所さえしぼりこめれば冬の釣りもたいして難しいとは思えない。
 理屈ではなく実際に魚を釣る人が偉いとは思うが、商業主義がからむ世界ではそうもいかないだろう。
 ただ、世界中の職業漁師が使うルアーを資料として見せてもらったが、共通しているのは、外観は凄く御粗末で、対象となる餌の単純な特徴しか備えていない。だが水の流れに任すと本当に生き物のように動く、外見より動きが重要であるというのは世界共通らしい。それと多くのルアーにアイスポットがあり、しかも現実の目玉よりさらに大きく、魚がもっとも食いついて欲しい針の近くに書かれている。やはり肉食獣は対象の最重要である部分を狙ってくるということか?
 そろそろ日本でもこのようなルアーが売り出されてもいとは思うが、そんなブサイクなルアーは売れるだろうか?現在の釣具屋を覗く限りバスに関してはありえないようだ。
 個人的な意見だが、釣りの入門書というのは全てのルアーについて解説している。総合ルアーメーカーも数多くのルアーを揃えて、状況によって使い分けろと書いてある。だが、現実のプレッシャーはその湖で効果的なルアーを絞ってしまうし、バスは多彩なルアーで釣れるのは魅力だが、メーカーの思惑で必要以上にアイテム数が増えた結果、本当に効果的なルアーは埋もれてしまった感はある。
 実際上手な奴と釣りをすると本気で釣っているときは、ほとんどルアーを交換しない。上手な奴のタックルボックスは本気で使うルアー数種類とその他大勢か。職業漁師も一番効果のある方法を延々と繰り返す。アプローチを変えれば釣れる魚もいるだろうが、彼らは多くの場合場所を変える。
 ただ彼ら自身もその方法がなんで効果があるのか分かっていない。経験による積み重ね、バサーはバサー以外からも多くのことを学べそうだ。

だるま親方


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