だるま親方 レポート

VOL.60 ランカーの方向性  11月23日掲載

時代

 今回でレポートを一時休載させて頂きます。私の力不足で2週間に1回連載がきつくなり、今までも大した内容ではないのですが、多忙につき内容維持がさらに難しくなりました。誠に申し訳ありませんが、しばらく取材期間を得てから再び再開したいと思います。

 今まで私が出会った上手なアングラー達はどこか冷めていた。特徴として彼らは世間の流行にあまり左右されない。それどころか彼らは世間の流行を逆手にとる。時代を感じると言うべきか。
 流行の場所はハイプレシャーだから近づかないし、流行のルアーは仮に釣れても「誰でも釣れるルアーは数が沢山いるチビを対象にしているのでランカーには効果があまり期待出来ない。仮に効果があっても皆が使うので長続きはしまい。」と言った奴もいた。だが私の意見は少し違う。
 本当にうまい奴は流行は少し試して、旬が去るとすぐ捨てる。なぜならそのルアーの時代は、もう終わったからだ。ひきづらないのが一番利口であるよだ。
 そこに気がつかないと、私のように旬が過ぎたテクニックを”夢よもう一度”と追いかけて惨めな結果に終わる。
 今回は、時代について書いてみたい。

 私のキャリアは20年、たつきちさんのキャリアは5年だ。私は経験だけなら彼を遥かに凌ぐし、全くスレていない琵琶湖で釣りをした期間が長いので、多彩なルアーを使った経験なら私の方に部があるだろう。
 だが、現実の釣りでは私は彼にまず勝てない。なぜなら私の釣りかたは古く、時代に取り残された感は否めない。
 漁師は経験が物を言う、経験のある漁師ほど水揚げは多いし、疑似餌を使う漁師は、疑似をほんの少し改造しただけで冗談ではなく数十倍の効果を上げる。
 ルアーフィッシングも同じでルアーの少しの改造で釣果が10倍違うことも珍しくない。
 だが皆さんも経験があるだろう。バスフィッシングにおいて、爆釣ルアー及びテクニックは2年と持たない。どんなルアーも、2年時代が去れば普通のルアーになってしまう。これはランカーをしとめる能力のあるルアーもチビ釣りの専用ルアーも例外なく、いつかは普通のルアーになってしまう。だから時代の変化を読めない人間は過去に、どれほど優れていようと将来も優れたアングラーである保証はない。(私のような万年凡才もいるが)

 ではなぜ漁師が何時までも釣り続けられるのか?彼らは取った魚は基本的に放流しないので魚がルアーを覚えにくいし、ある程度時期を定めて活動する。だがその漁師でさえも取りすぎによる減少、魚が仕掛けを覚えてしまうという問題はあるようだ。
 ましてやバスは再放流して一年中叩かれる。スレは当然早いだろう。

 では魚がルアーに飛びつき、そして飽きてしまうのはなぜなのか? 思うにバスの餌となる生物をバスが見分けるのにバスは生物の出す信号を区別するのだと思われる。
 その信号は動きかもしれないし、形かもしれない、あるいは匂いかもしれない。
 スレていない時代は、バスは見境なく飛びつくだろうが、時代と共に、生物がだす信号(動きなり匂いがバスが捕食している生物)とルアーが、なんらかの共通点があった場合、餌と錯誤して有効なルアーとなると思われる。現に世界中の職業漁師が使うルアーは餌となる生物の単純な外観と動きしか備えていないが、本物の餌を凌ぐ効果を見せる。餌が出す信号を拡大して見せるために本物の餌より魅力的に見えるのだ。
 このような有効なルアーをもっているということは、釣りにおいて場所についで大切な要素と私は思う。

 釣りにおいて最重要事項は場所である。このことは揺るぎないことと思うが、皆さんも経験があるだろう、有効なルアーを持っている時には、バスはどこででも釣れる。バスはどこにでもいるのだ。ただ矛盾するようだが場所は大事である。いい場所には魚が固まっているし、比較的釣りやすいバスが多い。有効なルアーを持っていると普段は解りえない場所による魚の密度まで解ってしまう。このことは魚が固まる冬の釣りでは特に大事な要素となる。
 人によっては太陽の方向や風の向きなどをやたら細かく言う人がいるが、時代がさったルアーを使っていたのでは効果が半減してしまう。場所とアプローチを局限まで拘っても旬がさったルアーを投げていては、初心者が投げる、その年に有効なルアーに簡単に負けてしまう。
 だが有効なルアーは何時までも有効ではない。時代と共に効果は半減する。ルアーが出す信号は本物では無いために皆が使えば何時かは魚に見破られる。
 ある実験ではルアーは活き餌に比べて30倍スレやすいそうだ。活き餌は、例え死んでいても外見、味と匂いという信号は本物である。そのために何回でも魚が掛かる。 
 では活き餌と全く同じ信号が出せるルアーを作ればバスフィッシングは終了するのか?私には解らないが、そんなルアーは作れない。なぜなら全てのルアーは糸で引っ張るという致命的な欠点を持っているので、本物を完全にコピーする動きの信号はつくれない。バスの場合特に動きが重要なのでルアーが死んだ活き餌を凌ぐ効果を発揮することも珍しくない。ルアーは確かに30倍スレやすいが、効率の良さで釣果は互角以上だろう。
 時代が去ったルアーは一時的に全盛期の効果を得ることもあるが、一時的な効果にすぎない。これから優れたアングラーであるのは、しがみつかず、ひきずらないことかもしれない。

だるま親方


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