ブルーギル駆除お手上げ

2000/02/23水曜日 掲載

琵琶湖でのブルーギル駆除の現状を伝える記事が平成12年2月21日付けの日本経済新聞に掲載されていましたので、記事の内容を掲載しました。以下引用。


外来魚ブルーギル駆除お手上げ

 琵琶湖の生態系を守ろうと滋賀県が昨年〜始めた外来種駆除策線が苦戦している。雑食性の外来魚、ブルーギルがここ数年異常繁殖、特産物である「ふなずし」の材料となる、固有種のニゴロブナなどが激減したのを受けた作戦だが、今年度の捕獲量は百五十d未満と、目標の半分程度にとどまる見通し。外来種が確認されてから三十年余り。生態系の“存亡”がかかるだけに、県や漁業関係者は背水の陣で外来種との戦いに臨もうとしている。

琵琶湖「ふなずし」ピンチ

 今月十五日早朝、滋賀県草津市の北山田漁港から、漁船二隻が出航した。今年最後となる、刺し網を使った外来魚駆除だ。琵琶湖南西に長さ一・二`にわたって水中にはられた漁網にかかったブルーギルが、朝焼けの中で身を躍らせた。
 この日捕獲したのは、千匹を越すブルーギルとブラックバス二十五匹。しかし、ニゴロブナなど固有種の姿はなかった。「かつてはニゴロブナの好漁場だったんだが・・・」と山田漁業協同組合の池田才次朗組合長はため息をつく。
 県は昨秋から五千五百万円をかけ、本格的な外来魚駆除に乗り出した。外来魚を年間三百d捕獲、二〇〇八年には九八年現在の推定三千dを半分の千五百dに減らし、固有種の絶滅を防ぐ計画だ。しかし、生態系がはっきりしないため駆除の思うように進まず、二月中旬現在、予定の半分にも達していない。
 滋賀県漁業協同組合組合連合会の清水明専務理事は「これほど増えるとは思っても見なかった」と危機感を訴える。食用に北米から輸入されたブルーギルが琵琶湖で確認されたのは一九六八年。徐々に湖全体に広がったが、九三年ごろから急激に増え始めたという。
 大津漁協の調査によると、大津市沖の一地点で九三年には役六百四十`のブルーギルが捕獲されたが、九八年には六千二百三十三`と約十倍に膨れ上がった。琵琶湖全体では三千dと推測され、単純に計算しても一千匹前後のブルーギルが泳いでいることになる。
 この急増でブルーギルがエサとする、固有種のエビやモロコ、フナの漁獲量が激減。琵琶湖全体でピーク時の三分の一以下の四百四十一d(九八年推測)になった。県水産試験場には、「琵琶湖南部はもはや外来魚しかいない」との見方すらあるという。
 漁連も数年前から固有種の稚魚放流を始めるなど対策を進めているが、放流するそばからブルーギルやブラックバスが集まり稚魚は瞬く間に食い尽くされた。「まるでエサをやっているような状態だった」と清水さんは肩を落とす。
 県は来年度から外来魚の優勝回収に乗り出す方針を固めた。「まだ生態系もはっきりしていない部分が多いが、効率的な駆除を早急に進めないと、琵琶湖は外来種だけのすみかになってしまう」(水産課)。琵琶湖の外来魚駆除は始まったばかりだ。

県「外来魚釣ったら食べて」

琵琶湖の漁業関係者をさらに悩ませているのが、釣り愛好家との対立。全国的なバス釣りブームの中で、ブラックバスの保護か駆除かを巡り利害関係が完全に食い違う。
 琵琶湖は外来魚駆除を目的に釣った魚は持ち帰って食べてもらおう「キャッチ・アンド・イート」を提唱しているが、愛好家の間では環境保護の観点から「キャッチ・アンド・リリース」(再放流)が定着。バス釣りのアマチュア団体、日本バスクラブ(山梨県河口湖町、約二万人)は「滋賀県の方針は知っているが会員に指示するつもりはない」(事務局)と静観の構えだ。
 ただ、琵琶湖の固有種減少の背景には環境の悪化があるのも事実。漁業関係者も「(モロコやフナの)産卵場所の葦の減少や水質悪化も大きい」と危機感を訴えている。

ブルーギルとブラックバス

 サンフィッシュ科で北米産の淡水魚。食肉用として輸入された。ブルーギルは魚やエビなどほか、魚卵や動物性プランクトン、水草などを食べる雑食性。体長は二十aくらいになる。ブラックバスは一九七〇年に琵琶湖に確認された。最大で七十a。ハゼやエビなどを好む肉食性。
 琵琶湖では当初、ブラックバス駆除を重視していたが、最近はブルーギルが急増しているという。その理由について県は「雑食性のブルーギルが、ブラックバスの卵も食べ始めたためでは」(水産課)としている。

平成12年2月21日日本経済新聞朝刊掲載


 皆さん如何でしたでしょうか?今回は特に南湖を中心に取り上げられた記事と言うことがあり、ブルーギルが大変増殖しているとの記事でした。

 私自身湖北の方に足を運ぶことが多くまだまだブラックバスやブルーギル以外の魚をよく見かけますが、いろいろな方々の話を聞くとそれでもかなり固有種と呼ばれる魚たちが姿を見せなくなってきているようです。

 私たちも琵琶湖に足を運ぶ物としてブラックバス・ブルーギル等の外来魚の害魚問題は避けて通れない物になりそうです。


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